制作備忘録&なにか

アナログ絵の制作手順の記録とか

ボールペンドローイング&スクラップ

制作過程ではなくボールペンと一部筆ペンを使った過去の落書きの詰め合わせです。

数年前落書き帳にしようとした無印のA5スリムノートの表紙に描いたもの。なんとなく人前で出すのを憚られるノートになってしまった。

初めはノートに直接描いていたが、糸とじのノートなのでうまくいかなかったページも破くわけにはいかない。するとノートを見返すたびに己のとびきり冴えない落書きとそれなりに気に入った落書きが交互に目に入り、「このページさえ無ければ」という気持ちになってくる。うまくいかなかったものを見返すたびになけなしの画力にデバフをかけられるような気分になる。気に入った落書きだけを掬い上げて一箇所にまとめたい……そうすれば自身が望む絵の方向性も見えてくるはずだ。と思ったのでノートの使い方を変え、クロッキー帳に描いた落書きの中から気に入ったものだけを切り出してノートに貼るスクラップ形式で使うことにした。

身の周りを興味のあるものだけで固めれば自分の嗜好をはっきり自覚できる。ちょっと部屋の断捨離っぽい考え方かな?

 

もし未来の油性ボールペンがダマと掠れを完全に克服してしまったらボールペンを使わなくなるだろう。

日東の一番細いマスキングテープ。今調べたら廃盤になっていた。どうしよう。

 

 

制作過程(アクリルガッシュ)

制作期間:2023年10月~11月12日

サイズ:サムホール(227mm×158mm)

ケント紙にアクリルガッシュ

 

↑リキテックスのガッシュアクリリックプラスという絵具です。乾燥前後で色味の変化が少ない&柔らかいので描きやすい。

今回使うのは写真の5色。ガッシュはこの5色しか所有していない。これに青が加われば色幅が大きく広がるが、青色を使うのが苦手なので持っていない。

↑下書きをケント紙に転写し、アイボリーブラックで清書。

天使の表情が悪どいことになってしまったのであまり見ないでほしい。今後の作業でどうにかなるはず

 

↑チタニウムホワイト+イエローオキサイド+アイボリーブラックで下塗りをした。

乾いたらカッターの刃で表面のざらつきをなだらかにする。(一般的なカッターから刃のみを取り出して絵の表面を一方向に軽く撫でる)

 

 

↑チタニウムホワイト+イエローオキサイド+アイボリーブラック+レッドディープで肌を塗る。塗りムラが無くなるまで三度くらい塗り重ねる。かろうじて透けている線画を頼りに目、鼻、口の線をアイボリーブラック+バーントアンバーで描く。

水張りがうまくいかなかったのか左側のほうが浮いてきた。

 

↑水を多めに加えたアイボリーブラック+バーントアンバーで影をつける。細かくハッチングを重ねたり筆でぼかしたり。

 

 

↑アイボリーブラック+バーントアンバーに肌を塗るのに使った色を加え、髪を塗る。線画にはなかった細い髪の束を少し描き加えた。

 

↑髪と同じ色で翼を塗る。顔の立体感を目立たせたが失敗気味。

 

↑拡大図。顔を直した。

周りの天使の肌は中央の人物と同じ種類の絵具を使っているがその割合を変え彩度を低めにした。

 

↑肌を塗った上から顔や体の線を描く。

彩度が低すぎたことに気付く。

↑天使の肌に影をつけた後、肌全体にレッドディープ+イエローオキサイドで作ったオレンジ色をごく薄く重ねることで血色をよくする。

バーントアンバー+イエローオキサイド+アイボリーブラックで天使の髪全体を薄く塗る。写真では右側二匹の天使がその工程にある。

同じ絵具で立体感が出るように影の位置を考えて二度塗りする。逆さまになっている天使が二度塗りを終えた状態。

立体感、髪の艶をさらに際立たせるためアイボリーブラック+バーントアンバーで描き込む。写真左端の天使がその工程を終えた状態。

 

↑チタニウムホワイト+イエローオキサイドでハイライトを描き込む&髪の彩度を下げる。

 

↑楽器や翼、包帯などの細かいパーツを塗る。主に他のパーツを塗ったときに使った色で塗っている。

↑包帯の白を際立たせたいので背景は落ち着いた茶色にした。初めの予定では朱色の背景にするつもりだったが肌の色が沈みそうだったので変更。ペイントソフト上で様々な色を試して決めた。

↑完成。スキャンをした。

構図や影の付け方など課題は山ほどあれどここ数年は描き切る体力みたいなのが少しずつ付きつつあると感じる。

茶色い絵になったので次はさっぱりした色を使いたいなあ

制作過程4(アルキド樹脂絵具)

あまり途中過程の写真を残していない軽めの作品二点をまとめて記します。

 

制作期間:2023年9月10日~9月18日

サイズ:B5(182mm×257mm)

ケント紙にアルキド樹脂絵具(クサカベ アキーラ)、アクリルガッシュ(リキテックス ガッシュ・アクリリック プラス)




↑コピー用紙やルーズリーフなど手軽な紙に下絵を描く。

基本的にコクヨの鉛筆シャープを使うことが多いが全体の大まかな形を掴みづらいときは柔らかめの鉛筆を、細かい部分は普通のシャープペンを使う。

(コクヨの鉛筆シャープは形や手触り、重さが鉛筆そっくりのシャープペンシル。所有している0.7mm、0.9mmの書き味は割と普通にシャープペンなので思い切って一番太い1.3mmを買うと面白いかもしれない。)

 

↑座っている人物を描いてしまったので台座が必要になった。
新しく紙を用意して台座の下絵を描く。線が混み入るため分かりやすくするため人物を描いた紙とは分けて描いた。

シンメトリーの唐草模様はまず右半分を描いてから、それをトレーシングペーパーでなぞって写したものを裏返す。(右下に写っているのが実際に使ったもの)

左半分の転写させたい場所に「鉛筆で濃く塗りつぶした紙(塗りつぶした面を下にする)」→「裏返したトレーシングペーパー」の順に重ねてトレーシングペーパーの線をボールペンで強めになぞると薄く転写される。転写された線だけでは頼りないのであとで描き足す。

同じ要領で薄いグレーの下塗りをしたケント紙に下絵を転写する。

↑転写後、アキーラ(カーボンブラック+バーントアンバー)で清書した状態。

今後の作業で描写しない部分を汚さないように紙で覆った。

 

↑内側だけ一段階明るい背景にしてみた。

 

↑各パーツを塗って完成。

ガッシュの使用箇所は背景と服の白い部分。それ以外はアキーラを使った。

 

2点目

制作期間:2023年9月24日~9月30日

サイズ:葉書サイズ(148mm×100mm)

ケント紙にアルキド樹脂絵具(クサカベ アキーラ)

 

↑下絵、転写に使用したトレーシングペーパー、清書を並べてみた。

下絵を描く際は髪だけ上に重ねたトレーシングペーパーに描く。髪を描き直そうとして消したくないところまで消してしまわないための策。

清書は下書きを再現するのではなく別物と割り切って描く。

↑デジタル上で色を塗ってみた。ちょっとセル画チックで気に入っている。

 

↑チタニウムホワイト+イエローオーカー+カーボンブラックで下塗り。

 

↑それぞれのパーツに下塗りをし、肌の色を塗り終わった状態。

肌の下塗りにはテールベルト風の緑色を塗った。

 

↑各パーツの固有色を塗った。

アキーラ独特のアルカイックな絵肌を活かしておく部分が欲しかったため服は塗りムラを残すことにした。

 

制作過程3(アルキド樹脂絵具)

制作期間:2023年3月下旬~4月12日

サイズ:S4(333mm×333mm)

キャンバスにアルキド樹脂絵具(クサカベ アキーラ)

 

 

↑キャンバスはホルベインのクイックベースで少し平滑にした。

黒い線画の上から下塗りを全体に塗る。下塗りに使う絵具には白が混ぜられているので線画の印象が柔らかくなる。

↑目当ての色を完璧に作るより、狙いと違ったならば違うなりに次の一手を随時考えながら描いていくほうが結果的に良くなるような気はしている。

アナログ画材を使う上での一番の悩みなのだけどパレット上に見える絵具の色が実際の支持体の上でどんな色になるのかがさっぱり分からない。多分自分の場合はほとんどの色に白を混ぜているので乾燥前と乾燥後で大きく色が変わってしまうからだろう。そのためパレットの上でどんな色をしているかという絶対的な判断よりも「さっき使った色から白をこのくらい加えた色だからこういう色だろう」という相対的な判断で色を作る。

当たり前のことのようだけど過去の作品制作でその色をどんな条件で使ってどんなふうになったのかという経験から得た自分用のオリジナルレシピが一番大事なんだなあと最近痛感している。

 

↑拡大してみた

そういえばこの絵は下絵も配色の計画も無くぶっつけだな。

 

↑前景を描き終わり筆跡まみれの背景をこのままにするわけにはいかないが塗って抜け感(?)が無くなったらどうしようと恐々としている時間。

 

↑完成。

絵を描き始めてウン十年、初めて作品と言えるものを描けた気がしたぞ。感慨深いな。

と思っていた。

 

後日……

↑心なしかキャンバスがたわんでいる。実は描く前から気付いていた。

雨の日だと更にゆるむのでどうしても気になり後日張り直そうとしたが初めに塗ったクイックベースが厚すぎて端からボロボロになり醜くなったので描画面だけ切り取ることにした。気に入ってた作品だけに悲しすぎる。

制作過程2(アルキド樹脂絵具)

制作期間:2023年5月22日~6月1日

サイズ:サムホール(227mm×158mm)

ケント紙にアルキド樹脂絵具(クサカベ アキーラ)

 

水張りする前に裁断位置を測ってあらかじめ線を引いておく。

水張りで多少のサイズ変動が予想されるが諦める。

↑合板に水張りした後、鉛筆で下書き。

 

↑さらに細かく下書き。

 

↑練り消しを押し付けて下書きを少し薄くしてからカーボンブラックで線画を描く。

全体を生成り色(チタニウムホワイト+イエローオーカー+カーボンブラック?)で薄く塗る。下塗りと同時に線画の黒を柔らかくするイメージ。

 

↑肌を塗る。何の絵具を使ったのか忘れた。多分チタニウムホワイトとカーボンブラックとイエローオーカーとバーントアンバーorバーントシェンナあたりしか使っていない。

 

↑髪を塗った。下塗りのままの部分と人体のコントラストがいいので正直このまま完成にしたい。

 

↑カラスを塗った。茶系の下塗りをした上から固有色をのせている。このまま完成にしたい。

この後完成まで途中経過の記録無し。

 

 

↑完成したものをスキャンして色味を原画と近い印象に調節した。

 

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裸の人間とゴミ山と鳥というモチーフの組み合わせが好きで何度か描いています。こういうのを描いてると落ち着く。

制作過程(油絵)

制作期間:2023年6月下旬~7月23日

サイズ:S6(410mm×410mm)

木製パネルに油彩

 

はじめにアクリル絵具で全体を薄く塗る。バーントアンバーとマースブラック?(覚えていない)

乾いたら鉛筆で下書き。

油絵具のアイボリブラックヒューに超速乾メディウムを1:1の割合で混ぜて下書きをなぞる。↓

アイボリブラックがヒューである理由は特にない

ホルベインのアイボリブラックヒューのカラーインデックス名はPBk7とだけ表記されているので中身はカーボンブラックのはずだけどアイボリブラックに近づけるための何かが施されているのかもしれない。知らないけど

(カラーインデックス名またはC.I.Nameは絵具チューブのラベルのどこかに書いてあるよ。)

 

↑緑色(ウルトラマリン+イエローオーカー+速乾メディウム)で暗い影になりそうな部分、最終的に濃い固有色になりそうな部分、肌を塗る。

緑色が乾かないうちに、上から暗いオレンジ(バーントシェンナ+イエローオーカー)をランダムに置く。このとき肌の部分と赤色の固有色になる部分には塗らない。

 

↑固有色を塗り始めた状態。

顔は始めに茶系の黒(アイボリブラックヒュー+バーントシェンナ)で目元から描き、そこを起点にして肌色(バーントシェンナ+イエローオーカー+チタニウムホワイト)を広げていく。

赤い布はバーントシェンナ+チタニウムホワイトを使用。影部分はウルトラマリン+イエローオーカーで作った緑。

髪は塗ってみたものの修正するためにこの後拭き取った。

ここで冷静に絵を見返しまずいと思った……

 

 

↑ので、顔を描き直した。だいぶ怪しげだった手も修正し、髪をボリュームダウンさせた。先ほどの顔の塗りが乾いた上から暗いオリーブ系の色(アイボリブラック+イエローオーカー)を薄く塗りかなりトーンダウンさせ、乾かないうちに薄い生成り色(チタニウムホワイト+イエローオーカー)を重ねてはファンでぼかし馴染ませる。顔の陰影のつき方はアングルの絵を参考にした。

 

↑髪や衣服や背景を描き進めた。

 

↑描き込まずにとどめたほうがそそるということもある(言い訳)

 

↑おわらせた。